キレてる! シボレナ対メガイエロー

「きゃっ」
 千里は落ちた地面に手をついて倒れた。
 ネジレジアからの避難と称して、昨晩出航した客船団が一時間前に連絡をたってしまった。サイバースライダーで現場に急行したメガレンジャーは、それぞれ手分けして船内を探し回っていた。インストールして客室の一つを調べていた千里は、目の前に現れた次元の裂け目に吸い込まれてしまったのだった。
「なんなの」
 和室の大部屋、千里が立ち上がると、ほこりが畳からぱっと浮かび上がった。デジタルカメラ機能であたりを探査すると、めちゃめちゃな数値が乱れ飛び、ものすごい不協和音が流れて、耳を塞ごうとしながら、探査モードをやめさせた。
「来たわね・・・・・・」どこからともなく声がして、千里はあたりを見回した。
「船の乗客をどこへやったの!」
「新しく生まれ変わる場所へよ」
 下から手が現れて、メガイエローのブーツをつかんで、彼女を転ばせた。
「きゃっ」引きずり込もうとする腕を反対の足で蹴って、メガイエローは壁ぎわへよる。ホルスターからメガスナイパーをぬく。腕が畳の中へ消えると、そこへシボレナが現れた。
「シボレナ」憎しみを込めた声で千里が言う。「みんなをかえしてなさい」
「それはできない相談ね。それより今日、私はあなたと決着をつけるわ」
「決着・・・・・・?」
「そう。一人じゃ、かないっこないかしら?」
 シボレナは余裕ある表情でほほえむ。ネジレジアの作戦参謀、シボレナは強敵で、千里一人で倒せるかどうか、わからなかった。それにメガレンジャーは五人ではじめて実力を発揮する。でも、ここで引くのは、千里自身が許さない。
「冗談じゃないわよ」
「ふん」シボレナが構えて、千里も構えた。
「こっちから行くわよ」
 千里は駆け出して、手刀をシボレナの首筋にやる。相手はそれを受けとめた。メガイエローのデジタルプログラムが次々に戦法を編み出してゆく。千里はスポーツは得意でも、格闘技は余り経験がなかった。強い、千里は思った。手を出しては受けとめられ、足を出せば受けとめられる。
(このままじゃらちがあかないわ!)
「はっ」そのとき、シボレナが千里の頭を掴んできた。一瞬の隙だった。鮮やかなシボレナの動きで、壁ぎわに追い詰められていた千里は、漆喰の壁に頭からのめり込んだ。
「きゃあ!」
 シボレナのパワーに漆喰は破られ、千里は廊下へ投げ出された。破片がぼろぼろとメガスーツに食い込んでくる。くらくらする頭をしっかりさせる前に、目の前に高いヒールのブーツが現れた。
「く!」何とかそれを腕で避けると、そのエネルギーで腕が焼けるように熱くなった。千里はよろよろ立ち上がる。壊れた壁ぎわにシボレナと向き合う。バイザーに立ち上がっているダメージコントロールが、予想外に大きな数値を示していた。
「よくもやったわね」
「もう限界かしら。今ならいいのよ、あなたもそんなに痛い思いをしなくて済むわ」
「つまらないことを言わないで!」
シボレナは掴みかかってきた腕を受け流して、ねじ上げた。小さくうめく。
「この程度じゃ限界は近いわね」
 千里はいいかえそうとした。次の瞬間、空中を舞い、畳へ落ちた。どうやられたのかさっぱり分からなかった。
「きゃああああ!」
 ほこりが浮かぶ。シボレナがメガイエローの背中に肘うちをいれた。火花が散って、千里が悲鳴する。
「うう」メガイエローをシボレナは起きあがらせ、一瞬で障子の方へ放り投げる。悲鳴しながら、中を舞った千里は庭らしきところにある池が見えると、その泥水の中に落ちた。
 デジタルプログラムはもちろん厳重な防水加工が施してある。しかし、度重なるダメージに損傷を受け、数カ所から火花が上がった。水中でころげ回ったあと、なんとか千里は立ち上がる。息つく間なく、空を舞った。強い、心の中で悲鳴した。
「あああ!」
 はじき飛ばされ、千里は再び水中へ。鮮やかに輝いていたメガスーツがすっかり泥だらけになっていた。負けちゃだめ。千里は自分自身のことを励ました。しかし、シボレナとの力の差は歴然だった。
「とどめだ!」
 池の縁におりたったシボレナは目の前で手を三角にくんだ。発光し、レーザーが発射されると、メガイエローははじき飛ばされて、縁の草地まで飛ばされた。
 目の前がぼやけていた。バイザーがこれまで最大のダメージパーセントを表示し、足から躰に激痛が走り、腹部のスーツが黒ずんで、全身泥だらけ。マスクもデジタルプログラムの主装置が故障して、副装置が稼働していた。
 なんとか、勝つ方法を。あせっちゃだめ。千里は言い聞かせた。ピンチだった。でもメガレンジャーは何度も、ピンチを切り抜けてきたじゃない! でも……いつも、仲間と一緒に切り抜けてきた……
 今ここで負けるわけにはいかなかった。なんとしてでも、誘拐された人たちを救い出す。地球の平和を守るメガレンジャーには、メガイエローとしての城が崎千里の全うしなければならない、使命だった。千里はいままでそんなこと深く考えてきたわけではなかった。
 拳を握って、メガイエローは立ち上がった。木々の間からシボレナが歩いてくる。身体中で痛みがして、辛かった。
「メガ・イエロー!」
 千里は名乗りあげ、ポーズをとった。シボレナはほくそえんだ。
「第二ラウンド開始のようね」
「えい!」
 千里は高く飛び上がる。重力とエネルギー最大で蹴りかかる。そして相手が怯んだ隙に一気にやっつける。千里の考えだした方法だった。
「え」ところが読みは違った。シボレナは腕を突き出した。すると、突然、空中に固まったように動かなくなったのだった。千里は動揺した。こんなことあるはずない。
「どうしたのかしら、お嬢さん」
「なにを……きゃっ」
 そういうと呪縛がとけ、千里はそのままその下の地面に落ちた。衝撃は何とか吸収されて、立ち上がろうとすると、半身起こした姿勢のまま、今度は躰が固まったようにうごなくなった。
「どうして」
「ここは私の空間だ、メガイエロー」
「そんな・・・・・・卑怯だわ」
「戦いに卑怯もなにもないわ。勝ったもの勝ちよ」
 今更でもないが、シボレナは本気だった。千里は不意に恐くなった。恐怖を感じる細胞が破壊されたみたいで、相手が鬼のように見えた。久保田博士のデジタル科学は世界で最も進んでいる。千里は信じた。人々を助けるまでは、絶対負けない!
 でも躰が動かなかった。千里は泣きそうだった。シボレナの大きな影に、押しつぶされそうだった。
 シボレナは千里の首を掴む。メガイエローは宙ぶらりんになる。そして、空を舞う。躰が動かない。反抗どころか防御もできない。千里は目の前に地面が見えた。嫌な音が、千里に耳に響いた。
「あう! あああ!」
 痛みにのたうち回った。千里は自分の不甲斐なさに腹を立てた。やり場のない怒りに千里は更に自己嫌悪に陥った。余裕を見せながら、シボレナは歩いてくる。
「きゃあああああああああ!」
 今更でもないが、シボレナは冷酷で残虐だった。その幻想の日本家屋の庭らしい場所で、なんども蹴り上げ、持ち上げて、池に投げ込み、超能力のようなもので五メートルも中に浮かべさせると、頭から地面に落としたりした。
 まったく抵抗ができずに、千里は悲鳴をあげるしかなかった。彼女は抗議し要求した。誘拐された人々を助けるように。しかしシボレナはきく耳を持たなかった。メガスーツの衝撃吸収機能が千里を守ってくれていたが、ダメージはどんどん積み重なり、そのうち彼女自身にも少しずつ痛みが押し寄せるようになった。シボレナはさいなみ続けた。メガイエローの躰は目に見えてぼろぼろで、声がどんどん弱くなった。それでも千里は負けまいとしていた。
 負けるなんて、予感しても、プライドが許さず、負ければ殺されることを意味していた。
 シボレナはほほえんだ。そして水面でぐったりとしたメガイエローを超能力で持ち上げた。水滴がしたたる。目の前で静止させる。宇宙空間でも活動可能なマスクには黒い亀裂が走って、ぐったりとうつむいていた。そのうち、シボレナはメガイエローを十字にさせた。
 聖書のゴルゴダの丘で張り付けにされるイエスのようだった。
「や、やめなさい・・・・・・みんなを・・・・・・あぐっ」
 超能力のパワーを発しているらしいシボレナの腕から電撃が発生する。千里はそれを受けて、声をあげた。躰中が帯電して、胃の中が燃えるようだった。ガスのようなものが躰中から抜けて行くような気がして、脳が沸騰するほどの痛みを感じた。苦しかった。
「んん・・・・・・」
 激しいスパークの雨が彼女の胸を元に発生した。それは大きな花火のようだった。シボレナは手をおろした。火だるまのようになったメガイエローの躰がスローモーションで、池へ落ちていく。水面にふれると、シュという音がして、白煙があがった。
 千里には何がなんだか分からなかった。バイザーには何も表示されていない。やがて、バイザーが破損していることに気づいた。躰中がしびれて動かなくなっていた。水の音がしていた。目の前に池の泥水が入ってきた。口の中にどろが入ってくるのが分かった。
 黒こげになったメガイエローは、あちこちやぶれており、白い肌が紫や黒に変わっていた。むせて咳こんだ。子供のように丸まった。寒気と燃えるような暑さを感じていた。
「うぐぐぐぐぐ・・・・・・」
 どさっ。千里が気づいたときには元の部屋に転がされていた。畳とほこりが濡れて、色が変わっている。千里は動けなかった。メガスーツは破けて、はずれたバイザーからの情報が途絶えていた。装着者の異変を感知したセンサーはそのほとんどが機能していなかった。痛かった。
「あなたは負けたのよ」
「まだよ・・・・・・」
 虫のような息で千里は呟く。うぐっ、うわずった声があがる。シボレナは無傷で、腹部の裂け目から、シボレナのブーツが食い込んでいた。千里は気を失いそうだった。
「あなたの最後よ」
 シボレナはメガイエローの背中に手を回すと、上半身を起こした。ぐったりとしていた。口元から頭部のデジタルカメラのマークにいたる箇所が亀裂していた。
バイザーのあったところからは無惨な少女の目が覗いていた。シボレナは亀裂に手をかけた。
「シボレナ・・・・・・」
 千里は反抗できなかった。シボレナは裂け目の縁に手をかけた。特殊物質の極薄だけれど超強力装甲で覆われたマスクが、アルミニウムのように裂けていく。黄色いマスクの内側には、脳のような模様があった。
 デジタル科学で人間の脳の構造を模倣したメガレンジャーの中枢だった。シボレナは指をいれた。タンパク質やシリコンの化合物の人工脳は、チーズみたいに脆くなっていた。千里は何も言わず、鼻をすする音だけが部屋にしていた。泣いていた。
 赤や緑の活性液が漏れ出てきた。シボレナがそれを指ですくうと、メガイエローの胸元で拭った。鮮やかなメガスーツの表面で、活性液や特殊物質が溶けたバターのようになっていた。今まで千里を超人にしてきたものだった。
 シボレナはあざけた。メガスーツの表面と同じ光沢のある布が、その下にあった。それを摘むと、シボレナは一気に引き剥がした。何本ものコードやワイヤーの切れる音がプチプチと響き、防錆剤だけ塗られた金属の表面が現れた。液や人工組織の滴るその布を、シボレナは千里の腹部の裂け目に落とした。
「あああぁぁ……」
 千里は顔を歪めた。シボレナは額のあたりまで裂け目を広げていった。デジタルカメラのマークを映すための発光器があった。それにいろいろなサーチマシンのデバイスが付属していて、それ自体がレーダーの役目を果たしていた。
 引き剥がすと金属やプラスティックのはずれる大きな音がして、千里の黒い長髪がそこに納まっていた。
「綺麗ね……」
 シボレナが呟き、千里は絶望を噛んだ。機能を停止していたメガスーツは、今では躰を締め付けるような妙な圧迫感もなかった。メガスーツが躰に馴染まなくなっていた。メガスーツのパワーは途絶え、交信不能ながら空電を響かせていた通信機も完全に沈黙した。シボレナに乗りかかられて、スーツを分解されていた。絶望すら子供のようなものだった。
「はじめての対面ね」
 千里は何をしようにもできなかった。全体はあっさりとはずれた。彼女の長髪がどさっとあふれた。白い千里の顔にはどろがへばりつき、口元から血が垂れていた。
「どうする気なの・・・・・・」
「あなたを屈服させるのよ」
「・・・・・・」
 黙る千里を無視して、シボレナは彼女の首もとに指をいれた。シボレナは笑っていた。勝利に満ちる顔とは違った。何かに悦ぶ顔だった。メガスーツはビニール袋ほどの厚さしかなかった。そのくせ妙なほど耐圧・熱防御性があり、シボレナも今までは苦心していた。
 ビリリリと音をたてて、メガスーツがやぶけた。インナースーツがあった。その姿はバナナのようだった。シルバーに黄色と黒のラインが入ったインナースーツもぼろぼろで肌が露出していた。機能停止したメガスーツはシボレナにとって、バナナの皮だった、。
 まだ負けない。そうは言いながらも、マスクを暴かれ、スーツを破壊され、千里は反撃する気をなくしかけていた。負けちゃ駄目、戦うのよ……心がそう疼いても、千里の躰は思うように動かなかった。シボレナの呪縛などではなかった。相手を恐れる心がそうさせるのだった。
 あざだらけの白い肌が覗いていた。理性的な顔立ちとは不釣り合いにもみえる胸があって、それを《MEGAYELLOW E―MODEL》と刻印されたアクリルイエローの下着が守っていた。そこは最終防衛線といってもよくて、千里の涙はもう枯れていた。
 シボレナはほくそえんだ。ずっと強敵と感じていた女戦士の躰は、筋肉質なんかではなく、まるでモデルのように華奢だった。スーツが肉体を作っていた。戦う躰ではなかった。シボレナは失望を覚えた。学生のような、弱々しい躰。スポーツをすればいいかもしれないけれど、戦闘には向かない。
 シボレナは千里の腕を掴んだ。
「ああ……」
 グローブを破り、歯でインナーグローブを引き裂く。強く握ると腫れた。わずかに潤ったエナメルのつけ爪があった。
「あああ! やあああ! ああああああああああああ!」
 シボレナは申し訳程度のつけ爪を一つひとつ剥した。千里は顔を歪める。きれいになった手を超能力で操って、《MEGAYELLOW E―MODEL》の下にあてた。捜査した。
「あああ・・・・・・やめな・・・・・・ぁい」
 嗚咽が甘酸っぱくなってうわずったメガイエローの声が漏れ始めた。鮮やかな下着の表面に小さな突起が現れた。この娘は得意、シボレナは唸った。ついで、乳頭を掴んで、転がさせた。悩ましげな甘い声がとめどなく、千里を翻弄し始めた。さっきのものよりも大きいしびれた感覚を覚えていた。シボレナが操ると、千里は自らその動作を始めた。
「うううう・・・・・・」
(こんなことってないじゃない!)
 千里は抵抗できなかった。躰が思ったように動かないし、喘いだり意味不明なことを叫ぶ以外は、言葉のすべてが喉をすり抜けていくのだった。
(駄目、駄目、駄目、千里・・・・・・駄目)
 千里はおかしくなっていた。敏感な感覚が支配していた。子供のように奇声をあげた。
(やめて、やめて、やめて、やめて!)
 痺れが広がり、千里は目をつぶった。異様なくらい感じるのだった。気持ちいい、とかじゃなく、千里は感じるのだった。苦悶のような感覚を覚えながら、千里はシボレナをみた。何かを握っていた。その装置の先端がくねくねと煽動していて、千里は見つめた。胸を揉んだ姿勢のまま、身体が凍った。
(なんでそんなものを!)
 シボレナはバイブレーターを握り、千里の顔のすぐ目の前まで持ってきた。千里は喘いでいた。その強烈な胸の感覚に負けないくらい鋭いが輝きを失った目で、目の前のものを見つめていた。
 千里は困惑した。目がそれを捉えて離さなかった。シボレナの腕が千里の躰を下っていき、スカートに来たとき、バイブレーターが煽動し、スカートをつっついた。
「あああああうん!」
 濡れている表面に、機械的な刺激が来る。メガスーツを通してだったのに、千里は感じてしまった。感じるというものとはちょっと違った。感じさせられてるという感じだった。これもシボレナの力なんだろうか、千里は思った。
 助けてほしい。ばかばかしくつらいほどに愛液が、彼女の身体を溢れて来るんだった。
(このままじゃ、このままじゃ・・・・・・)
 メガスーツの大部分は破損したのにスカートで守られたそこはしっかりと稼働していた。シボレナがスカートの縁を摘んでめくると、黄色いスーツが輝きを放っていた。シボレナはバイブレーターをおしあてた。
「あうん……ああんんん! あうううん!」
「かわいそうね。メガイエロー」シボレナが言う。
「でもあなただけは許すわけにはいかないの」
 千里は答えられずただただ胸を揉み続け喘ぎ続けた。
「あぅん……あうん!」
「安らかにはなれないわ」
 シボレナの言うことがよくわからなかった。脳がへろへろになっていて、がんがん痛んだ。眠気と覚醒が繰り返し現れ、ふらふらで思考がまったくまわらなかった。爪を剥された指のじんじんと続く感覚と、帯電したような胸のささやきと、躰中の傷が混ざり合っていた。バイブレーターのモーター音が大きくなった。
「いいいいいいいいい!」
 突然、大きな波が現れては引いた。苦悶した。こんなことってなかった。困惑していた。ネジレジアは信じられない集団だった。シボレナは千里を恨んでいた。完全に翻弄して、完全に屈服させたいみたいだった。感じていた。喘いでいた。
 こんなことされるなら死にたい、一瞬思った。健太が言い耕一郎は否定したけれど、千里はメガレンジャーなんてバイトとか、ある種のボランティアみたいなものだと思っていた。学校やデジ研や塾や家の手伝いと基本的には同列なものだと考えていた。
 その中には、悪魔のような異次元の敵にレイプされて、犯されるということはまったく考えにないことだった。気持ち悪いことだった。考えたくもないことだった。それに千里は女同士でこんな遊びをするなんて考えになかった! それなのに、千里は感じた!
 苦悶が引いて、艶が混ざり始めていた。
「ああああ!」
 バイブレーターがおし充てられるうちに、千里の陰部は溶けたバターのようになっていた。若草がねっとりと湿っていた。突然メガスーツは、バイブレーターがまるで焼き後手であるかのように溶け始めた。《MEGAYELLOW MODEL》と書かれた下着があって、そのままにされた。ただ陰部と陰核にかけて、焦げたような穴が開けられてしまった。羞恥心を通り越して、千里は事切れそうだった。
 愛液がとめどなくあふれていた。へばりついていた。硬い陰部はぐじゅぐじゅになっていた。シボレナはバイブレーターの手とは反対の手を伸ばした。指で肉種を掴んだ。転がして、千里はうわずった。肉種は膨らみ、ピンク色で青と赤で充血していた。艶めかしい穴にシボレナはバイブレーターをあててうずめた。簡単に埋もれていった。肉壁をこすると、千里は騒いだ。合わせて千里は吐息した。ちょっとだけ出血した。
 白い頬は紅潮した。喘いだ。それでも千里の腕は《MEGAYELLOW E-MODEL》を揉みつぶしていた。やめたくても、無駄だった。心臓が高鳴っていた。どんどん高鳴った。体内がかき回されていた。
「うんぐうぐうぐぐぐ」
「やああ・・・・・・」
「い、い、いぃぃぃ」
 千里は目を白黒させた。脳がへろへろになっていた。千里の体はもう自分のものになくなっていた。シボレナが体内を支配していた。肉壁を機械が擦っていた。それは擦るというより、撫でるという感じに近かった。媚薬が中から漏れ出てくるようで、肉壁は媚肉に変貌していった。もう、千里は、メガイエローとしての凛々しさも誇りもなにもかも、覚えていなかった。
「いゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
 叫びがやみ、体が暴発した。精神が焼き切れて、狂ったように愛液があふれた。《MEGAYELLOW E-MODEL》の真ん中で乳頭がそそり立って、絶頂を越えてもまだ千里の指で、もて遊ばれていたが、まもなく力つきて、手がだれおちた。汗だらけの身体を汗が流れた。何がなんだかわからないような段階を越えて、妙に意識がはっきりすると同時に、氷解した。千里は寒気の中に投げ出されていた。体が揺れていた。すべての最悪が千里の胸の奥に集中していた。
「メガイエロー、メガイエロー、千里、千里・・・・・・」
 涙声、突然涙声が千里の耳に入ってきた。気づいた。体中がしびれていたけれど、いつのまにか胸を揉むのをやめていた。シボレナではない声。
「千里、千里、ちさと!」
 バナナのように脱がされた千里の体。液体に濡れ、絶頂に体液をこぼした体。床が揺れていた。
 一等船室の浴槽で、千里の体をメガピンクがゆすっていた。むき出しの体を、レッド、ブルー、ブラックが囲んでいた。多感期の三人の〈男子〉は思わず、股間を膨らませてしまった。まさかそんな光景見ることになるとは思わなかったからだった。それは異様に艶めかしく〈男子〉には刺激でありすぎた。
 《MEGAYELLOW LOST!》
「み……く……」
 浴槽からタイルにかけてでかでかと文字が刻まれていた。みくは涙を流すうち、事切れて、メガイエローの上にのし掛かった。三人はボロボロのメガイエローと事切れたメガピンクを、無人の客船から助け出さねばならなかった……
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